平常心

災害は、いい行いをした人の家が残されるのではない。地震の被害は、

因果応報とは全く無関係で、横暴な選択である。今の若者たちは、

電気が無ければ終わりだ。テレビも冷蔵庫も機能しなくなる。

冷暖房も切れるので、37度の酷暑の中を扇子で過ごさなければならない。

通信も途絶える中で読書や勉強も不可能になる。入浴なしや空腹は何よりつらい。

今、私はすべての状態と変化に静かに耐えて、我を失わない人間になりたいと

思っている。つまり人間は、地震のような非常事態にも穏やかな日常にも、

清潔にも不潔にも、富にも貧困にも、善にも悪にも、著名人にも無名人にも、

全く同じような誠実さと落ち着いた判断力で向き合える人になることが理想だ。

曽野綾子

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