お知らせ

2022.5.23

父母の言葉

試練

我が家で唯一の男の子。上に姉二人、息子には初めてのことも、親としてはすでに

 経験済みののことばかりでした。ところが、お姉ちゃん達の時にはしなかった「不登校」

 親としては初めての経験。親も仕事が繁忙期で、ただでさへ気がたち、朝起きて学校に行く

 という普通のことができないわが子に腹を立て、とにかく朝起きて学校にいくためには

 一体どうすれば?と悩みました。
 
 ネットで情報収集し、その手の本を読み漁ったり、寝つきの良いアロマを買ったり、

 病院で血圧の上がる薬をもらったり、交換条件を出し以前から欲しがっていたペットを飼ったりと…。

 結局何も変わらず、毎朝言い争いをして、取っ組み合いをして、お互いどうにもならないことに

 涙して…。明日は行くから休み明けから来月から行くからと、同じことを繰り返し、

 四か月の月日が流れていました。

 男の子は手がかかるものらしいと聞いていたので、常に声をかけ、気をかけ、手をかけるのが

 ”普通”と思っていましたが、親として何も分かってなかったのでしょうね。心を閉ざす一方の息子。

 考えても、考えても答えは一向に出ませんでした。

 学校に行くとか行かないとか、もうどうでも良くなってきた時、今度はこのまま自分の殻に

 閉じこもって、社会問題にもなっている中高年の引きこもりになって、親が死んで、そのまま

 面倒見てくれる人がいなくなり孤独死…と、将来が不安になり始め、どうにかこの状況から

抜け出さないとお姉ちゃんたちにも迷惑をかけるのではないかと藁をもつかむ思いで、

 ネットで見つけたのが”フリースクール玄海”でした。

 これまで子どものことでここまで悩んだことがなかったので、代表のお話を聞いて、

 なんだかスーッと気持ちが楽になり、お願いするしかないと決心しました。

 体験だけで入寮せず戻ったり、家まで迎えに来てもらったりの幕開けで、三月まで踏ん張れるか

 正直心配しかありませんでしたが、毎日毎日ブログをチェックして、小さく映っている写真を

 大きくし、無邪気に笑って元気そうにしている姿を見ては、ほっとしたものです。

 九か月の玄海生活。立志を迎えいつの間にか身長も抜かれ、心身ともに大きくたくましく

 なった息子。地元の中学校の卒業式に参加して、唯一親元を離れ”普通”に学校生活していた

 子とは違う時間を過ごした息子。なぜか誇らしく思いました。

 玄海での生活を一度も楽しいとは言わず、親も気を使ってあえて玄海の話は避けていましたが、

 地元の高校に入学し、最近では「玄海では~」と自分から玄海での出来事を頻繁に語り、

 突然思い立ち「ちょっと走ってくるわ~」とタイムを計ってランニングと、なんだかんだ

 言って玄海での九か月の経験が栄養剤となり体に浸透し、しっかり地に足をつけ踏ん張って

 毎日を過ごしています。

 「またね~」と保護者の皆さんとお別れして、また?玄海で?再会?と思いましたが、

 子ども同士夏休みに遊ぶ約束をしたりして、この先もずっとつながっているのだな~と

 玄海での絆を改めて感じました。

 ”試練”を与えられ、親として経験したことのないことを経験させてもらい、出会うことのない方々と出会わせてくれ、ある意味息子に感謝です。

 ”親の心子知らず”ばかり主張しがちですが、”子の心親知らず”。身に沁みました。

 一年前は、こんな穏やかな日が来るとは想像すらできませんでした。フリースクール玄海との

 出会いに感謝しかありません。本当にありがとうございました。

 TONGARIコーンの母

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