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2023.11.30

玄海NEWS

12月の詩

自分の感受性くらい   茨木 のり子

 ぱさぱさに乾いてゆく心を 

 ひとのせいにはするな

 水から水やりを怠っておいて


 気難しくなってきたのを

 友人のせいにはするな

 しなやかさを失ったのはどちらなのか


 苛立つのを

 近親のせいにはするな

 何もかも下手だったのはわたくし


 初心消えかかるのを

 暮らしのせいにはするな

 そもそもが ひよわな志にすぎなかった


 駄目なことの一切を

 時代のせいにはするな

 わずかに光る尊厳の放棄


 自分の感受性くらい

 自分で守れ

 ばかものよ


 わたしと小鳥とすずと   金子 みすゞ


 わたしが両手をひろげても

 お空はちっともとべないが

 とべる小鳥はわたしのように

 地べたをはやく走れない


 わたしがからだをゆすっても

 きれいな音はでないけど

 あの鳴るすずはわたしのように

 たくさんのうたは知らないよ


 すずと、小鳥と、それからわたし

 みんなちがって、みんないい










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