ナルシシズム
ナルキソスは皆を無視して自分の世界に閉じこもっているにもかかわらず、
彼は池の底にいる美男子のことを愛しているつもりだった。しかし池の底の人は
自分の影であった。自分の世界には自分自身以外誰もいなかった。もちろん、
この美男子は女性の間でも人気を集めていた。けれども、自分自身の世界の魅力で
十分に満たされていた彼は、女性たちを次から次へと振り続けていた。そこで、
恨んだ少女の一人の祈りを聞いた復習の女神によってナルソキスは水仙の花となり、
池にかがみこんでずっと自分の姿を見つめる罰を受けたのである。
水の鏡で自分を見つめているナルキソスは自己愛に富んだ人物と思われるが、
それは自己愛ではなく敗北の原因となるナルシシズムである。一番の欠点は
誰かを愛しているつもりでいながら、本当に「愛しているのは自分だけ」であり、
そのことに気がつかないところである。「だけ」が問題で自分「も」でないといけない。
ナルシシズムを克服する方法の一つは「感謝」である。子供は家族から愛情と物をもらうのが
当然なことだと考えており、自分が世界の中心だと思っているので、感謝の念はあまりない。
人間からも、自然からも、さらに人間と自然の生命の深い根源からも、限りなく良いものを
いただいているゆえに、「おかげさま」の自覚に生きて、日本語の貴重な敬語を本気で使えば
人生観が変わってくると思う。暖めてくれる太陽に、喜んでくれる犬に、おいしい糧になって
くれる魚一匹に対しても、全てに対して感謝の気持ちを抱くことが、ナルシシズムを直して
くれるでしょう。